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先輩医局員の声

専門医(2021年度 研修プログラム修了)

 私がリハビリテーション科医師を目指してから、5年が経ちました。リハビリテーション科専門医を取得でき、もうすぐ指導医を取得できる段階になっています。リハビリテーション科を目指したときは、「なんとなくリハビリテーション科っていいな」、と思ったのがきっかけですが、年々その幅広さと奥深さに楽しみが増しています。
 私が、リハビリテーション科になりたいと思ったきっかけは、その方の病気だけでなく、患者さんの生活や病気になった後の患者さんの人生なども含めて全人的にその方を診ていきたいと思ったからです。医師は病気になった方の病気を中心に診察や治療を行い、その病気を治癒させることが主な役割とされています。しかしながら、病気を患った方の生活は、それ以前の生活と同じではありません。例えば、大腿骨近位部骨折を受傷した患者さんの骨折を手術で治しても以前と全く同様に歩行できる方は少なく、何らかの障害が残ることが多いです。また、入院中に筋力低下、嚥下機能低下、認知機能低下などを来たすこともあります。それらを診ていくことも医師の役割の一つではないでしょうか。
 骨折だけでなくほとんどの病気は、罹患をきっかけになんらかの障害をもたらすことが多く、それらの障害を抱えた新たな生活が始まります。リハビリテーション科はその新しい生活、人生を、その方に寄り添いながら、その方のbetterを一緒に見つけ探っていく、とても魅力的な仕事です。
 リハビリテーション医学は医療分野の中で唯一(?)、とても前向きな医療と言われています。ほとんどの診療科は病気や異常などのマイナス(-)な部分に目を向けてそれを治療します。リハビリテーション医療は、現状の身体能力や環境などを把握し、そこから目標に向けて前向きに行動していくというとてもプラス(+)思考なポジティブな医療です。リハビリテーション部門は多くの病院でとても明るく活気に満ちているのは、それも一つの要因かもしれません。
 リハビリテーション科の仕事は急性期~回復期~生活期、乳幼児~高齢者まで老若男女、臓器を問わず、大学病院~在宅医療まで、その内容は本当に多岐にわたります。覚えることや学ぶことも多く、慌ただしく大変な時もありますが、それ以上に毎日が発見と満足感に満ちています。障害を抱えた患者さんの新たな人生の一歩に携わっていられることへの感謝の気持ちとともに、その人生が患者さんにとってよりよいものとなりますように、精一杯の応援と微力ながら力添えができればと思って仕事をしています。

専攻医(長野県リハビリテーション科専門研修プログラム3年目)

 信州大学医学部附属病院リハビリテーション科では、主に急性期の患者さんのリハビリテーション診療を行っています。各診療科からリハビリテーションの依頼が来るため、脳神経、運動器、心臓、呼吸、がん、小児、救急領域、廃用症候群など幅広い疾患群に対する診療を行います。そのためリハビリテーション科医に必要な、幅広い疾患とそれに伴う障害を診療する力をつけることができます。さらに医師としての総合的な診療能力も鍛えることができる非常に恵まれた環境だと思います。最近ではリハビリテーションロボットや嚥下内視鏡などの機器が導入され、充実した資源を用いて最先端の診療を行うことができます。
 リハビリテーション科の専門医は、制度として成立してからまだ20年ほどしか経過しておらず、他の診療科と比べると非常に新しい領域です。そのため長野県のような地方ではまだまだ認知度が低く、リハビリテーション科を標榜している医師の数はごく少数にとどまっています。そのため需要が供給を大きく上回っており、今後もその状態が続いていくことが予想される診療科と言えます。近年はコンスタントに医局員が増え続けていますが、まだまだ少ない現状です。長野県のリハビリテーション科の未来を先駆けて創っていける仲間が増えていけば嬉しいです。